富岳を活用したドラッグリパーパシング基盤研究の開始について

株式会社ジェクスヴァル
2023年1月20日

株式会社ジェクスヴァル(以下「ジェクスヴァル」)は、富岳を活用したドラッグリパーパシングのためのAI(Artificial Intelligence、人工知能)解析技術に関する研究を開始しました。

本研究は、2022年7月に開始した国立大学法人東京大学 先端科学技術研究センター 特任準教授辻真吾先生及び、学校法人近畿大学 薬学部 医療薬学科教授 細見光一先生とのドラッグリパーパシングに関する共同研究の一貫として行われるものです。

ジェクスヴァルの創薬技術基盤であるRepurposing Engine®のデータドリブンなプロセスでは、医薬品候補物質とその標的、疾患との隠れた関連性を見出すためにAI解析技術を用います。様々なプラットフォームから得られる大量かつ多様なライフサイエンスデータやリアルワールドデータを統合的に利活用するため、次元数が大規模で、莫大な計算処理能力を必要とします。本研究では、世界有数の計算能力を有する富岳を利用して、グラフニューラルネットワークツールへの大規模ネットワーク埋め込みについて検証し、アルゴリズムの最適化を図ります。

ジェクスヴァルは、治療薬が届いていない希少疾患の患者さんやそのご家族に、革新的で費用対効果の高いお薬を1日でも早くお届けするために、研究開発に取り組んでいます。

富岳
理化学研究所計算科学研究機構に設置、運用されている国産スーパーコンピュータで、演算速度性能や実アプリケーションの実行性能、AI性能、ビッグデータ解析性能を示すスコアで世界第一位を獲得しています(2020年6月)*。
*引用元:https://www.r-ccs.riken.jp/fugaku/about/

グラフニューラルネットワーク
多様なデータをノード(節点)とエッジ(線)によってグラフとして表現し、そのデータを深層学習の手法の一つであるグラフニューラルネットワークとして解析するもので、抽象的な対象からそれぞれのノードの関係性を抽出することができるため、創薬においては医薬品候補物質とその標的、疾患などとの関連を探り出す有望な手法です。

希少疾患
患者数が非常に少ない疾患(日本:5万人未満、米国:20万人未満、欧州:1万人に5人未満、など)で、世界には7000疾患以上あり、あわせて約3億5千万人が罹患しているといわれています。

希少疾患の課題
希少疾患の約5%にしか治療薬がなく、近年の承認薬の多くは細胞治療や遺伝子治療、抗体医薬など非常に高額で医療行政に与える影響も甚大です。必ずしもすべての患者が手軽に利用できるものではないという深刻な医薬品アクセスの課題があります。

製薬業界の課題
新薬の研究開発の成功確率は非常に低く、製薬企業は生産性の課題を抱えています。多額の研究開発費を投じているにもかかわらず、多くの新薬医薬品候補物質が十分に研究し尽くされないまま中止になっていることが問題視されています。

ドラッグリパーパシング
“ドラッグリプロファイリング”や“ドラッグリポジショニング”とも呼ばれ、市販の医薬品や研究開発途上の医薬品候補物質について、当初の想定とは異なる疾患での可能性を見出して開発する手法です。安全性、薬物動態、製造方法などのデータがある程度蓄積されているので、開発期間の短縮や開発コストの削減が可能で、研究開発の生産性向上への貢献が期待されます。

Repurposing Engine®
ドラッグリパーパシング研究を戦略的に行うための、ジェクスヴァル独自のイノベーションエンジンです。より高い成功確率を目指した研究開発戦略のベストアンサーを見出します。開発が中止された医薬品候補物質を新たに調べ直し、医療現場に貢献するために必要な一連の戦略を構築、実行します。

 

 本件に関するお問い合わせ: info@gexval.com